名古屋先物・証券問題研究会編 民事法研究会発行
<110番シリーズ17>
Q&A 先物被害110番-客殺しに遭わないために-
四六判・268頁
定価 本体1,700円(税別)
平成15年10月22日発行
に詳しい解説があります。ここでは、そのエッセンスを紹介します。
第1章 先物取引をめぐる被害
Q1. 商品先物取引をめぐる被害は昔からあるのか。
昭和30年代後半から現在に至るまで被害が発生している。
Q2. 商品先物取引被害にはどのような特色があるか。
①取引のきっかけは執拗かつ強引な勧誘
②不十分な説明・儲け話の強調
③実質一任による取引
④顧客の能力を超えた過大な取引
⑤無意味な反復売買
⑥仕切拒否
Q3. 先物取引を始めるときにはどのような点に注意すればよいか。
商品先物取引はハイリスクであり、素人が手を出してよい取引とは思えない。
そのうえ、先物業者の不当・違法な手口によって損をさせられるおそれもあるので、その点にも注意が必要。
Q4. 「他の業者と違ってうちは安全です」という先物業者を信用してもよいか。
信用してはいけません。基本的にどこの業者も同じです。
先物取引においては、統計的に8割程度の人が損をすると言われています。
Q5. 新聞等の広告で「先物取引で年間収益率30パーセント」と書いてあるのは本当か。
真実ではありません。
「年間収益率30パーセント」等と記載されている広告は、商品先物取引の投機性・危険性について顧客の誤解を招くおそれがあり、また、確実に利益が生じると誤解させるおそれがある点でも、極めて問題です。
日本商品先物取引協会の定めた自主規制規則である受託等業務に関する規則6条は、広告規制を設けておりそのような広告は、同規制に抵触する可能性があると言えます。
Q6. 先物業者にはどのような規制がされているか
商品取引所法、商品取引所法施行規則等の各種法令や商品取引所による規制、日本商品先物取引協会による自主規制などによって、先物業者は規制されています。
しかし、これらの規制があっても、十分に機能していないのが現状です。
第2章 勧誘時における先物被害
Q7. 勧誘の際、「必ず儲かります」と言われたが本当か
「必ず儲かる」という断定的判断の提供をして勧誘する行為は、法律で禁止されています(商品取引所法214条1項)。
また、断定的判断の提供に基づく契約は、取り消すこともできます(消費者契約法4条1項2号)。
Q8. 断ったのに勧誘の電話がかかってくるがやめさせるにはどうすればよいか
明確に先物取引をやるつもりはないと言っても、しつこく勧誘する行為は、明らかに不当勧誘行為に該当します(商品取引所法214条5項)。
何度も電話勧誘がある場合には、先物業者名と担当者名を聞き出して、日本商品先物取引協会に苦情の申出を行ないましょう。
Q9. 勤務先に勧誘の電話がかかってくるがどうすればよいか
勤務先に何度も電話勧誘を行なうことは、顧客に迷惑を覚えさせる勧誘方法として禁止されています(商品取引所法214条6項)。
Q8と同じく、日本商品先物取引協会に苦情の申出を行ないましょう。
なお、電話の内容などはテープ録音して証拠に残しておいたほうがいいと思います。
Q10. 先物業者から「とにかく一度会いたい」と言われたが会っても大丈夫か
会う必要はありません。会えば取引に必ずや引き込まれますので絶対やめましょう。
Q11. 先物業者からいきなり資料が送られてきたがどうすればよいか
たとえ資料を受領していたとしても、先物業者の外務員に会って説明を受ける義務はありません。
なお、一方的に送付を受けた資料は、自由に処分して差し支えありません。
Q12. しつこく勧誘されたので「取引する」と返事をしたが今からでもやめられるか
電話でやりますと返事をしただけでは、何の義務もありません。
先物取引を開始するには、まず、先物業者に対して、「その先物業者に取引を委託します」という内容の「約諾書」や、書類の送付先・連絡先を先物業者に対して明示するための「通知書」を作成し、その上で、委託証拠金を預託して初めて具体的な取引の注文をすることができるのです。
電話でやるといっただけでは、まだ取引をしたことにはなりませんので、きっぱりと断ってください。
あいまいな木元委で取引を始めると莫大な損失を被ることになります。
Q13. 執拗な勧誘を受けてうまく断れないがどうすればよいか
取引を始める意思がなければ、その旨をはっきりと外務員に告げてください。
取引の意思がない旨の意思表示をした者に対してさらに勧誘をすることは、法令で禁止されています(A8参照)。
Q14. 先物業者から「10枚からしか取引できない」と言われたが本当か
そんなことはありません。1枚、2枚からでも取引はできます。
先物業者は顧客から多くの取引依頼があれば、その分多くの手数料及び委託証拠金を預かることができます。
そして、外務員は、顧客から預託を受けた証拠金額が営業成績に直結する場合も少なくないので、「一口性の勧誘」を行なうことが多くなるのです。
Q15. 個人名義と会社名義の両方で取引を勧められたが応じてよいか
個人名義と会社名義の両方で取引を勧誘するような先物業者は極めて問題が多いと思われます。
顧客に仮名や他人名義など本人以外の名義で取引をさせることは禁止されています(商品取引所法116条2号)
Q16. 「値動きが予想できるから安全です」と言われたが本当か
先物業者の「今は値動きが予想できるから」という言葉は、全くの偽りです。
先物取引が証拠金取引である以上、想像以上の損害を被る可能性がある取引であることは自明であり、「安全です」 という言葉も事実に反します。
Q17. 「商品を組み合わせてリスクを分散しているから安全」というのは本当か
何度も言いますが、先物取引自体が、そもそも危険な取引なのです。
ですから、「安全な」先物取引なんてものはあり得ません。
「分散投資」と称して多くの銘柄の取引を行なえば、全体的な取引枚数も拡大します。
これが先物業者の狙いでもあります。取引回数、取引枚数が多くなればなるほど、業者は委託手数料を徴収できることになりますから、顧客に複数の商品を勧めて取引を継続させることは、業者にとってはうまみがあるのです。
Q18. 「コンピュータで値動きを予想して利益を確保する」と言われたが本当か
コンピューターと聞くと、いかにも合理性・信用性があるかに聞こえますが、商品先物取引の相場は、様々な価格形成要因が絡みあって形成されるものであり、コンピューターを用いた計数分析によっても、その行方を的確に予想することは極めて困難といえます。
現に、ノーベル賞を受賞した科学者が、高等数学を駆使して行なったデリバティブ取引で大失敗した事例もあります。
Q19. 追証があるから預けた金額の半分以上の損は出ないというのは本当か
全くの虚偽の説明です。
先物取引では、僅かな値動きでも大きな損失が発生する可能性があります。損失が続いて値洗い損が増えてくると、最初に差し入れていた委託本証拠金の担保だけでは足りなくなります。しかも、顧客が最終的に損切りした場合、その後の清算ができるのか不安が生じます。このような場合に供えて、委託追証拠金いわゆる追証が必要となるのです。
追証は、未決済の建玉の値洗い損の額が、委託本証拠金の50パーセント相当額を超えてしまった場合に発生します。
したがいまして、追証が発生している場合に、取引を仕切れば、預けたお金以上の損失が発生していると思われますので、問いのような説明は全くの虚偽なのです。
第3章 契約時における先物被害
Q20. ガイダンス映像の内容をほとんど見ていないがこのまま取引を始めて大丈夫か
DVDでガイダンス映像を見せられ、確認書に署名させられても、先物取引の仕組み・危険性の理解ができていないのであれば、実際の取引はするべきではありません。
Q21. 契約が終わってお金を渡したところ預り証を渡されたが領収書とは違うのか
あなたが先物業者に渡したお金は、取引を委託した商品の代金ではなく、委託証拠金という取引の担保としてのお金です。
先物業者は、顧客から担保として委託証拠金の預託を受けたときは、その顧客に対して、商品取引所が定める様式の委託証拠金預り証を、本店又は従たる営業所で発行しなければならないとされています。
Q22. 契約をした後にやめるにはどうすればよいか
取引の注文を出さずに、至急、契約の解除や取消を申し出てください。 もちろん、預けた委託証拠金は全額返してもらえます。
Q23. 取引のしくみがよくわかっていないが取引を始めても大丈夫か
取引の仕組みがどのようなものかよく分からないのであれば、取引を行なってはいけません。
直ちに契約しない旨を先物業者に連絡し、明日の契約書等の作成をキャンセルして下さい。
どうしても取引を行ないたいのであれば、取引の仕組みを理解し、納得するまで説明を聞いたうえで契約すべきです。
Q24. いろいろ書類を渡され指示されるままに著名したがこのまま取引を始めても大丈夫か
先物取引の仕組みやその危険性について、外務員から詳しく説明を受けていない場合はもちろんのこと、しっかりと理解ができていないのであれば、取引を始めてはいけません。
Q25. 外務員から書類を渡されただけで説明を受けていないが取引を始めても大丈夫か
この先物業者の外務員は、法令で要求された書面の交付自体は行なっているようですが、法令が要求する商品先物取引の仕組みや機能、高い投機性、リスク等についての説明義務を尽くしたものとは到底言えず、法的には違法な勧誘行為であると考えられます。
この外務員には、法令で要求されている委託者(顧客)保護の観点が欠落していますから、今後は慎重に対応する必要があるでしょう。
Q26. 外務員に言われるままにアンケートの「理解できた」に○をつけたが大丈夫か
理解できていないのであれば、その旨を先物業者に申し出るべきです。もし、既に取引を始めてしまっていたような場合であれば、一旦建玉を仕切って、取引を続けるかどうか、よく考えて下さい。
また、取引の過程に不服があって交渉や裁判になった場合には、先物業者はそのアンケート用紙を証拠に出してきて、あなたは取引を十分理解していたと主張してくるはずです。ですから、書面で「理解できていない」と申し出ておくと、なおよいでしょう。
第4章 取引をめぐる先物被害
Q27. 取引初心者なのに取引枚数がどんどん増えているが大丈夫か
まず、取引枚数が増えれば増えるだけ、あなたが大きなリスクを背負ってしまっているという状況を認識する必要があります。
先物業者は、あなたのような新規の顧客を保護するように法律上義務づけられていますが、あなたの置かれた現状から判断すると、先物業者はその義務に違反している可能性があります。
一度、先物取引に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。
Q28. 売買報告書の読み方がわからないがどうすればよいか
「売買報告書」の読み方が分からないときは、必ず外務員又はこれを説明できる人に聞いて、理解できるようにするべきです。
もし、外務員が説明を拒んだり、納得のいく説明をできない場合には、そのような先物業者との取引はトラブルの原因になる可能性が高いと考えられますので、十分な注意が必要です。
Q29. 残高照合通知書と一緒に送られてきたハガキは返送しなければならないか
このハガキは、どうしても返送しなければならないというものではありません。
ただ、残高照合通知書の記載内容や取引過程に問題がある場合には、その具体的な内容を記入して控えをとったうえで、返送したほうがよいでしょう。
Q30. 入金していないのに預り証の金額が増えたがどういうことか
それは、あなたに無断で、あなたのお金である帳尻勘定上の利益を担当外務員が勝手に証拠金に振り替えているということです。直ちに、書面で抗議して返還を求めましょう。
Q31. 追証は必ず支払わなければならないか
追証は、相場の予測が外れて損失が一定程度まで達した場合、担保となる証拠金を追加しなければならない制度です。
追証を支払って取引を継続するか、仕切ってしまうのかは、顧客の自由です。 ただ、追証を支払って取引を継続させる場合は、慎重な判断が必要となります。
Q32. 委託証拠金の返還に応じてくれないがどうすればよいか
先物業者が返金を拒むことはできません。
返金を求めても拒まれる場合には、すぐに弁護士に相談してください。
Q33. 「取引をやめたい」と告げたが引き止められた後、売買が頻繁になったが大丈夫か
あなたはすでに多額の資金を投入し、もう出すお金はない状態にまで追い込まれているようですので、これ以上取引を続けるべきではありません。
先物業者は、頻繁に売買を繰り返すことによって、手数料稼ぎを行なっている可能性があります。
Q34. 取引を担当外務員に任せ切りにしても大丈夫か
取引を外務員に任せ切りにしていると、思いがけない損害を被ることがあります。 大変危険ですから、絶対にやめてください。
Q35. 担当外務員が頻繁に交代することは許されるか
担当外務員を頻繁に交代させることは禁止されています。
Q36. 次々と新しい商品を勧められるが応じても大丈夫か
安易に取引銘柄を拡大していくことは、次第に取引内容や個々の銘柄の値動きについての把握が困難となり、業者の言われるがままに次々と取引を繰り返していくことにもなりかねません。自ら納得し、自らの判断で取引できる範囲にとどめるべきでしょう。
Q37. 「両建にしておけば安心です」と言われたが本当か
両建をすると、その後は商品取引相場の変動にかかわりなく、建玉のいずれかが利益となる反面、他方がその分だけ損勘定となり、実質的にはその時点で手仕舞いをしたのと同様の結果となります。
両建をすれば、安心ということは全くありません。
そもそも、両建の勧誘行為は禁止されており、このような勧誘は断固として拒否すべきです。
Q38. 利益が出たところその分で取引を拡大するように勧められたが応じてよいか
いわゆる利乗せ取引と呼ばれるもので、適切な取引方法とはいえません。 利益を確保したいときは、外務員に対して、「仕切りをして利益金を返してほしい」と請求し、現実に利益金を返還してもらうべきです。
仕切りや利益金の返還請求に応じてくれない業者は悪質業者であり、直ちに取引を止めるべきです。
Q39. 板寄せ、バイカイ付出し、ザラバ、向い玉の意味を教えてください。
国内の公設市場で主に農林水産省の管轄の商品(とうもろこし、大豆、小豆など)は、1日のうち数回の場節による競りが行なわれ、各場節ごろに1つの値段が決められています。この競りのやり方を板寄せ(いたよせ)仕法と言います。
先物業者の社内で売り注文の数と買い注文の数が同数の部分(例えば売り100枚と買い100枚)は、この競りが行なわれた後20分以内に取引所へ届け出れば(バイカイ付出し)、競りに出されたのと同じ取扱いになって、注文が取引所で執行されたことになっています。
また、ザラバとは、立会時間中ならいつでも値段と数量が合致することにより注文が成立する競りの方法を言います。
向い玉とは、先物業者が自己玉を顧客の売り買いの反対のポジションで損益が対立するように売買することを言います。
第5章 仕切をめぐる先物被害
Q40. 取引をやめたいのに担当外務員が応じてくれないがどうすればよいか
電話の場合、一方的に「やめる」と仕切指示を伝えて電話を切り、その後にすぐ、先物業者の管理部と日本商品先物取引協会にも取引をやめたことを電話で連絡しておくのがよいでしょう。
電話の内容は、できる限り録音しておくことが大切です。
電話では、はっきりと断る自信がない方の場合は、FAXや手紙を出すという方法もあります。それでも応じてもらえない場合には、弁護士に相談してください。
Q41. 「ストップ安で売り注文が通らない」と仕切ってくれないがどうすればよいか
商品取引所では値幅制限があるため、仕切り注文が成立しない場合はたしかにあります。
しかし、先物業者の中には、仕切拒否・回避のため、実際の相場状況とは異なる虚偽の事実(ストップ安)を伝えて、取引を継続させようと画策する悪質な業者もいますので、外務員の言葉を鵜呑みにするのは禁物です。
現在の相場状況がストップ安であるかどうかは、インターネットによっても簡単に確認できますので、実際の相場状況を確認することをお勧めします。
Q42. 担当外務員が不在で建玉の決済ができないと言われたがどうすればよいか
典型的な仕切拒否です。
その先物業者は、取引を継続させるために虚偽の事実を申し向けています。
Q43. 損金を支払うまで取引をやめることはできないのか
建玉について損が出ていても、直ちに取引をやめることはできます。
取引を止めるかどうかは、顧客の自由です。
損金が出ていても、損金の清算の有無にかかわらず、取引をやめることができるのです。
Q44. 「取引をやめたい」と告げたところ新しい取引を勧められたが応じたほうがよいか
損を取り戻そうとして傷口を深め、全財産をなくした人が大勢います。
「やめたい」と決めたならば、担当外務員の勧めに負けてはいけません。あなたの意思を貫いてください。
第6章 取引結了をめぐる先物被害
Q45. 先物業者の相談室に苦情を申し出たら「一度会いたい」と言われたが応じてよいか
あなたが交渉をしようとする業者側の担当者は、顧客からの苦情処理や示談交渉を専門に担当する者であり、その意味では交渉のプロです。
そのうえ、その担当者は、勧誘から取引の終了に至るまでの段階において問題のある行為があった場合には顧客側から損害賠償を求められる可能性があることを十分に承知しており、顧客側からのそのような請求を何としても阻もうとしてくる場合もありますので、注意が必要です。 会う前に、弁護士に相談することをお勧めします。
Q46. 金取引を仕切ったところ損が出ていると言われたが証拠金は戻ってくるか
あなたが先物業者に預けた証拠金の合計額と、差引損益金通算額とを比較してみて、前者が多ければ、預けた証拠金の合計額から差引損益金通算額を差し引いた差額が返還されます。なお、この清算金は、あなたが請求をした日から四営業日以内に返還されることになっています。
Q47. 取引を精算する際に書類に署名を求められたがこの書類はどのようなものか
取引終了後に先物業者が作成を求める書面は、通常は顧客に和解契約を締結させるものであったり、損害賠償請求権などを放棄させる内容ものであることが多く、安易に署名することは禁物です。
Q48. 清算金を返還してもらうには書類を書かなければいけないのか
取引終了後の清算金は無条件で遅滞なく返還しなければならず、この先物業者が指定する書類を作成しなければ清算金の返還を受けられないということはありません。
Q49. 取引終了後の不足金は必ず支払わなければならないのか
取引の際、先物業者に何らかの違法性が認められるような行為があれば、不足金を支払う必要はなく、逆にあなたから先物業者に対して損害賠償を請求できる場合もあります。
Q50. 先物業者に「弁護士に依頼しても得にならない」と言われたが本当か
取引に納得がいかない以上、きちんと先物取引に詳しい弁護士に相談すべきです。
第7章 その他の先物被害
Q51. 海外商品先物取引とはどのようなものか
海外商品先物取引とは、外国の商品取引所における先物取引のことで、顧客の注文を受けた日本の業者が外国の業者に注文をつなぐという先物取引のやり方です。
先物取引被害の多い海外商品先物市場は、ニューヨーク、シカゴ、ウィニペッグなどです。
海外商品先物取引業者の中には、顧客の注文を本当に海外の商品先物市場へつないでいるかどうか疑わしいところもあります。
Q52. 海外商品先物オプション取引がローリスク・ハイリターンな取引というのは本当か
確かにオプションの買い手の損失は、買い付けたプレミアム価格に限定されていて、短期間に大きな利益が得られる可能性のあることは事実です。
しかし、むしろ海外商品先物オプション取引は、高額な手数料に加えて短期間に投資金額全額を失う非常に投機性の高いハイリスクな取引であるといって差し支えありません。そもそも、「ローリスク・ハイリターン」な取引などというものは存在し得ないのが経済の大原則ですから、このような勧誘を信じてはいけません。
Q53. 外国為替証拠金取引とはどのようなものか
顧客が取扱業者に対し一定の証拠金を預け、証拠金の何倍もの外国為替取引を行なうことを言います。
外国為替証拠金取引は、少ない投入資金で多額の取引を行なうことから、わずかな為替相場の変動によって多額の損失を被る可能性があります。また、株式や商品先物のような取引所が存在せず、すべて相対取引となるために、取扱業者側で自由に取引条件を決めることができる危険な取引です。
最近は、外国為替証拠金取引についての被害が多発しており、しかも、業者も次々と破産しているということもあり、被害に遭われた方は、早く弁護士の相談することをお勧めします。
第8章 被害に遭ってしまったら
Q54. 先物取引被害を受けたらどこへ相談すればよいか
相談窓口としては、各地の消費生活センターや弁護士会の法律相談などがありますが、当研究会でも被害相談は受け付けています。
Q55. 裁判をするにはどのくらいの費用と労力がかかるか
裁判をするとなれば、最低でも1年程度(多くの場合は、2、3年)は覚悟する必要がありますが、弁護士に依頼すれば、その間、あなたが実際に裁判所へ行かなければならないのは、せいぜい1、2回でしょう。
裁判費用としては、依頼した弁護士の報酬の他に、印紙代や切手代といった訴訟費用(実費)が必要になります。
弁護士費用は、基本的にその請求する金額に応じて決定されることになります。
Q56. 裁判以外の解決方法はないのか
日本商品先物取引協会の苦情処理や仲介手続、弁護士会のあっせん仲裁制度があります。
Q57. 弁護士に依頼するとどのくらいの費用かかかるか
弁護士費用は、依頼する段階で最低でも被害額の10パーセント程度は必要となりますが、詳しくは、直接各弁護士にお尋ね下さい。