(対)三貴商事 神戸地裁姫路支部平成14年2月25日判決(過失相殺なし)

【特筆されるべき判旨】

  1. 商品取引員の従業員らは,本件取引の当初から,委託者から預託を受けた金銭の返還を免れることを志向しつつ様々な工夫をこらしていたもの(客殺し)と推認される。
  2. 商品取引員が日々の売買取組高をほぼ同数にするように向かい玉を建てる差玉向かいをしている事実は商品取引員の客殺し体質を推認させる事実となる。
  3. 向かい玉によって顧客から預託された委託証拠金を手元に留保した商品取引員が,この委託証拠金の返還を免れる意図のもとに,「客殺し」を構成するとされる各取引手法(利乗せ満玉,無意味な反復売買)を組み合わせて用いれば,手仕舞い時に,計算上の損失に藉口して顧客に返還すべき金員がないかのように取り繕うこと(客殺し)は十分に可能である。

神戸地裁姫路支部平成14年2月25日 平成10年(ワ)第509号・最高裁HP

原告代理人
弁護士 平 田 元 秀   同    山 崎 省 吾  同   山 田 直 樹

裁判長 島 田 清次郎  裁判官 正 木 きよみ  裁判官 柴 田   誠


第3 当裁判所の判断
1 不法行為の成否
(1) 問題点

ア 前示のとおり,亡Eは,本件取引期間中の各建玉をするについては,Gから事前に連絡をもらって一応了解していたが,先物取引の知識経験に乏しく,相場の動きなどについて独自の情報源を持っていなかったこともあって,Gの意見(相場観)を排して独自の判断に基づいて建玉を行うことはなかった。Gは,顧客である亡Eの了解を取り付けていたとはいうものの,その実質は「了解」というに値しないもので,顧客(亡E)を意のままに操縦していたというのが正確である。

イ 原告らは,上記のような取引状況を前提に,本件取引において構造的な詐欺行為(いわゆる客殺し)が行われていたと主張している。ここにいわゆる「客殺し」とは,商品取引員が,顧客から委託証拠金などの名目で預託された金員を自己の手元に置いて費消することを意図して,顧客を意のままに操縦して,売り又は買いを建て,これを仕切ることによって,売買差損金,委託手数料などの名目で顧客に損失を発生させ,手仕舞い時に顧客に返還すべき金員(帳尻益金)がないかのように取り繕うものである。原告らは,本件取引に現れた様々の状況を総合すれば,本件取引において「客殺し」が行われていたと推認できるというのである。しかし,仮に顧客の操縦が可能であるとしても,本件取引は予想困難な「相場」を対象とするものであるから,いうところの「客殺し」の手法を用いれば,相場の動きを利用して意図的に顧客に損失(売買差損金)を発生させることができるというのでなければ,原告らの立論は根底から覆ることになる(相場の動きを利用して意図的に顧客に損失を発生させることなどおよそ不可能ということになれば,本件で発生した帳尻損金は,予想困難な相場を読み誤ったことによって偶然に発生したものであるとの評価を免れず,いわゆる「客殺し」は,「幻の問題」であったということになる。)。そこで,そもそも「客殺し」は可能なのかどうかを検討しなければならない。

(2) そもそも「客殺し」は可能か。

ア 向かい玉について
向かい玉は,商品取引員が顧客の委託玉に対当させて顧客と反対の売り買いの玉(自己玉)を建てることをいうところ,それ自体は,顧客の委託玉に損失をもたらすものでないことはいうまでもない。しかし,商品取引員が特定の商品についての自己玉を,委託玉の売り・買いのうち枚数の少ない方にその差を埋めるように建玉し(差玉向かい),毎日の売買取組高を自己玉・委託玉合計でほぼ同数にする取引を行えば,その商品の相場がどう動こうと差損は生じないことになる。したがって,向かい玉が,被告の主張する如く,相場変動に起因する損失により商品取引員が倒産する事態を防止する機能を有していることは否定できないが,他方で,商品取引所に対する関係で,商品取引員が顧客から徴収した委託証拠金を放出することを回避する機能を果たし得ることも否定できない。後者の面に着目したとき,商品取引員が顧客から預託された委託証拠金を自己の内部に留保する手段として,向かい玉を利用し得ること自体は,これを否定することができない。
なお,商品取引員が日々の売買取組高をほぼ同数にするように向かい玉を建てていると,相場がどう動こうと相場で損をすることもない代わりに相場で利益を得ることもない。したがって,顧客に相場で儲けてもらい商品取引所からその売買差益を受け取り,その内から委託手数料を受け取るということはできない。すなわち,当該商品取引員は,収入を外部から得ることはできず,顧客から委託証拠金名下に預託された金銭等のみを収入として,そこから従業員の報酬などの諸経費を払わなければならない。このような状態で,仮にある顧客に利益が生じた場合,市場から益金相当額が入金になるわけではないから,この益金の払い戻しも上記の顧客から預託された金銭をもって賄わざるを得ないことになる。かかる仕組みのもとでは,商品取引員において,顧客にできるだけ利益が上がらないように仕向け,さらに進んで顧客に損が生じるように導き,委託証拠金名下に預託された金員の返還をしないですまそう,との発想に至ることは当然ともいえる。かかる意味で,商品取引員が顧客総体に対する向かい玉(差玉向かい)をしている事実は,「客殺し」が可能であると仮定した場合に,当該商品取引員に「客殺し」の体質があることを推認させる事実といってよい。

イ 利乗せ満玉について

利乗せ満玉とは,取引によって発生した確定益金を計算上委託証拠金に振り替え,その増加した委託証拠金で建玉可能な限度いっぱいの取引を継続することをいうところ,その結果としての顧客の損益は相場の動向によって決せられるのであるから,これ自体は顧客に損失を被らせるものではないと見られなくもない。
しかし,取引によって発生した確定益金を顧客に払い戻さないで委託証拠金に振り替えながら利乗せ満玉を繰り返していくと,取引の規模が急速に拡大されていくため,それまでの取引で相当程度の利益を得ていたとしても,ひとたび相場で損を出せば,一挙に莫大な額の確定損金が発生し,それまでの利益を失う結果となる。相場の予想は困難で,すべての取引において例外なく利益を上げ続けることが困難である以上,利乗せ満玉を継続しておれば,いずれ確実に顧客に損失を生じさせることができる(顧客に利益が出ても益金を払い戻さずに新たに委託証拠金として預託させ,最終的に顧客の損失が決定的となるまで取引を継続させるならば,顧客を確実に損失に導くことができる。)。かかる意味で,利乗せ満玉は,商品取引員において顧客を操縦することができるならば,「客殺し」の基本的な手段となり得るといわなければならない。
なお,利乗せ満玉は,本来顧客に払い戻さなければならない確定益金の払い戻しを回避できる上,新規の建玉(取引の拡大)により委託手数料を増大させることができるので,かかる観点からも,「客殺し」の基本的な手段と位置づけ得る。

ウ 無意味な反復売買について
無意味な反復売買は,商品取引員が委託手数料の取得を目的として,顧客に不必要な取引を頻繁に行わせることをいうが,委託手数料が増大すれば,顧客に生じた利益(確定益金)を委託手数料で吸収することが可能になるから,これも「客殺し」の基本的な手段となり得るといわなければならない。

エ 小括
以上要するに,「客殺し」を構成するとされる各取引手法は,その一つ一つがすべて独自で,顧客を確実に損失に導くわけではないにしても,商品取引員が顧客に損失を生じさせようという意図のもとに,これらを組み合わせて用いることによって,相当の確実さをもって顧客に損失を生じさせ得るものであることが明らかである。前叙の問題点に則していえば,相場の予想は困難であり,相場の変動を利用して直ちに顧客に損失を被らせることが困難であるとしても,向かい玉によって顧客から預託された委託証拠金を手元に留保した商品取引員が,この委託証拠金の返還を免れる意図のもとに,「客殺し」を構成するとされる各取引手法(利乗せ満玉,無意味な反復売買)を組み合わせて用いれば,手仕舞い時に,計算上の損失に藉口して顧客に返還すべき金員がないかのように取り繕うこと(客殺し)は十分に可能といわなければならない。

(3) いわゆる「客殺し」が行われたと認められるか。
ア 向かい玉について
(ア) 証拠(甲B24ないし30)及び弁論の全趣旨によれば,東京工業品取引所における,被告のゴム取引の売買取組高は,別表「取引高表(東工ゴム)(95年5月限月ないし同9月限月及び同11月限月並びに全体総合)」のとおりと認められる。
(イ) これによれば,東京工業品取引所における被告のゴム取引について,各立会日における売買差玉の取引高全体に占める割合が1パーセント以内の取引すなわち売り買いがほぼ同数の取引が41パーセント,5パーセント以内の取引すなわち売り買い数が著しく近似している取引が36パーセント,10パーセント以内の取引すなわち売り買い数が近似している取引が12パーセントである。ランダムに取引しているはずの被告の顧客の委託玉が,自然に任せて売り買い同数になることやその状況が続くことは考えられないものであるから,上記の状況から,被告において,恒常的に委託玉に対当させて自己玉(向かい玉)を建てて,毎日の取組高が売り買いほぼ同数になるように調整していたと推認することができる。
(ウ) 被告が恒常的に向かい玉を建てている事実は,被告にいわゆる「客殺し」の体質があることを推認させる事情であることは否定できない。
イ 取引経過の分析
(ア) 平成7年3月8日までの取引経過
別表「建玉分析表(全商品,東工ゴム,東工白金,東工銀及び東工綿糸40)」,同「返還可能金額の推移一覧表」及び同「帳尻勘定・投機損益分析表」によれば,
① 本件取引が開始された平成6年11月21日以降,平成7年3月8日まで,取引によって確定益金が発生する度に,その益金を顧客(亡E)に払い戻さずに,計算上委託証拠金に振り替え,その増加した委託証拠金で建玉可能な限度いっぱいの建玉を新たに建てて取引を急速に拡大していったこと(利乗せ満玉。なお,取引開始後1か月目の平成6年12月20日までは,建玉が白金の20枚だけであったものが,2か月目の平成7年1月20日の取引終了時点で90枚の建玉が,3か月目の同年2月20日の取引終了時点で1050枚の建玉が,同年3月8日の取引終了時点で2000枚の建玉が建てられ,特に,同年2月20日から同年3月8日までの間は,最高で2670枚の建玉が建てられていた。),
② 同年3月1日から同月8日までの間に行われた銀の取引で,売買差益を合計726万6000円上げたものの,委託手数料(取引所税・消費税を含まない。)が合計1115万4000円であったため,差引423万4591円の損失(取引所税・消費税を含む。)が確定したこと,
③ 同年3月2日から同月8日までの間に行われた綿糸40の取引で,売買差損が合計1063万8000円,委託手数料(取引所税・消費税を含まない。)が合計732万7200円であったため,差引1819万8321円の損失(取引所税・消費税を含む。)が確定したこと,
④ ゴムの相場は,同年3月3日をピークにして値下がり傾向を見せ始めたため(乙B15),同年3月8日の取引終了時点で,同年3月2日に建てた買建玉1000枚(取引番号61番・62番)が7700万円ほどの損(値洗い損)を出しながら仕切れずに残っていたところ,同日に売建玉を1000枚に増やして完全両建の状態にした結果,ゴムの取引で約7700万円の相場損(値洗い損)が固定され(以後,全量建玉を仕切る平成7年7月18日まで常時,完全両建の状態が維持されている。ただし,異限月の両建が含まれているため,値洗い損が若干好転することもあった。),さらにこれらの建玉を仕切る時点でいずれ1324万円の手数料損(1枚当たり片道3310円として計算し,取引所税・消費税は考慮していない。)が発生することが確定したこと,
⑤ 上記の②ないし④の取引(3月1日から同月8日までの間に行われた銀・綿糸40・ゴムの取引)の結果,3月8日の取引開始段階で得ていた確定益累計1億2457万0144円をあらかた失い,約700万円の利益を残すのみとなったこと(すなわち,3月8日の取引で,銀・綿糸40で合計1459万8000円の相場損,合計1238万5692円の手数料損〔取引所税・消費税を含む。〕が現実化し,ゴムで約7700万円の相場損が固定され,合計1324万円の手数料損〔取引所税・消費税は考慮していない。〕の発生が確定した。なお,平成7年3月9日以降に新規の建玉がなければ,最終的にこの約700万円が亡Eの投機益となるはずであった〔別表「帳尻勘定・投機損益分析表」の平成7年3月8日の「投機損益」欄及び別紙「説明図」を参照〕),
⑥ この間の特定売買の湧出状況は,別表「特定売買認定表(全商品)」のとおりであること(なお,「日計」というには,新規の建玉が同じ日のうちに仕切られていることが必要であるところ,取引番号17番の取引〔2月8日約定の東工ゴムの仕切取引〕は,2日前に建てられた玉の仕切取引であるから,これが「日計」に当たるとは認められない。また,「直し」ないし「途転」に当たるかを見るについて,同日中に数度にわたる新規取引があるときは,取引の早い順から,対応する仕切取引の枚数を超えることとなるまで,「直し」ないし「途転」として取り扱うこととするのが相当であるから,取引番号23番の取引〔2月13日約定の東工ゴムの新規取引〕,同34番の取引〔2月20日約定の東工ゴムの新規取引〕及び同60番の取引〔3月2日約定の東工銀の新規取引〕は,「直し」とは認めがたく,取引番号27番の取引〔2月15日約定の東工ゴムの新規取引〕は,「途転」とは認めがたい。),
以上の事実が認められる。
(イ) 平成7年3月8日以降の取引経過
別表「建玉分析表(全商品,東工ゴム,東工白金,東工銀及び東工綿糸40)」,同「返還可能金額の推移一覧表」及び同「帳尻勘定・投機損益分析表」によれば,
① 前記の平成7年3月1日から同月8日までの間に行われた銀・綿糸40の取引による損失の結果,同月8日に確定損益金勘定残高が2570万8548円の大幅な赤字を計上し,この穴を埋めるため,同月10日に,証拠金勘定(それも,2323万5000円の必要証拠金不足〔薄敷〕が生じていた証拠金勘定)から,この赤字を埋めるだけの資金を取り崩して,この赤字を補てんし,その結果,この時点で証拠金勘定が,4894万3848円の大幅な証拠金不足(薄敷)となり,さらに,前示のとおり,ゴムの取引で約7700万円の相場損(値洗い損)が固定されたことの関係で,平成7年3月8日以降,常時,5250万円から1億3091万2500円の追証がかかった状態で推移することになり,亡Eは,追証を請求されて,同年3月14日に400万円,同月23日に820万円,同年5月1日に500万円,同月10日に300万円,同年6月6日に270万円,同月22日に30万円,同年7月6日に30万円の現金を入金したが,全量建玉を仕切る同年7月18日まで,証拠金不足が解消されることはなかったこと,② 平成7年3月8日以降,ゴムの取引では,利益の乗った売建玉のみを時に仕切りつつ,直ちに同数の売直しが行われ(直し取引),結局,全量建玉を仕切る同年7月18日まで,常時,完全両建の状態が維持されていること(因果玉の放置,常時両建。ちなみに,同月9日以降に新規に建玉されたゴムの枚数は,全部で3355枚であるところ,これらを仕切った時点で2221万0100円の手数料損〔1枚当たり片道3310円として計算し,取引所税・消費税は考慮していない。〕が発生する計算になる。),
③ また,平成7年5月30日に建てた,白金の売建玉1000枚は,その後相場が上昇傾向にあったので,損を拡大しながら仕切れないまま,全量手仕舞いをした同年7月18日を迎え,結局,4100万円の売買差損を出したこと(ただし,この間,50枚から170枚の範囲で買建玉をしており〔両建〕,この買建玉で580万5000円の売買差益を得,委託手数料〔消費税・取引所税は考慮していない。〕が合計795万6000円発生したため,差引4340万3586円の損失〔消費税・取引所税を含む。〕となった。),
④ 上記②及び③の取引の結果,白金の売買差損金とゴム・白金の委託手数料が,平成7年3月8日の時点で予定された約700万円の投機益(ただし,異限月の両建が含まれているため,両建中の値洗い損に若干の動きがあるため,この700万円は厳密な数字ではない。)を吸収し,さらには,同年7月18日までに入金した現金累計3447万円をも吸収して,あまつさえ,2000万円を越える帳尻損金を発生させることになった(帳尻勘定が2000万円強のマイナスになった)こと〔別表「帳尻勘定・投機損益分析表」の平成7年7月18日の「帳尻勘定」欄及び別紙「説明図」を参照〕),
⑤ 被告(G)は,全建玉を手仕舞いした後,帳尻損金の充当名下に,平成7年8月16日に10万4479円,同年10月20日に10万円の合計20万4479円を亡Eに支払わせたこと,
⑥ この間の特定売買の湧出状況は,別表「特定売買認定表(全商品)」のとおりであること(なお,既に説示したのと同様の理由により,取引番号116ないし118番の取引〔5月30日約定の東工ゴムの仕切取引〕及び取引番号131番の取引〔6月27日の東工ゴムの仕切取引〕は,「日計」に当たるとは認められず,取引番号106番の取引〔5月22日約定の東工ゴムの新規取引〕及び取引番号110番の取引〔5月23日約定の東工ゴムの新規取引〕は,「直し」とは認めがたい。)
以上の事実が認められる。
(ウ) 小括
以上のような本件取引の経過を通覧すれば,被告従業員ら(F及びG)は,平成7年3月8日まで無意味な反復売買を繰り返して手数料損を増大させつつ,利乗せ満玉を繰り返して,相場で大きな損が出るのを待ち,3月8日に顧客に決定的な損が出た時点で,損を出している建玉の一部を仕切って,損を現実化させる一方で,ほかの損を出している建玉について完全両建をはめて相場損(値洗い損)を固定し,さらに,3月9日以降,無意味な反復売買によって手数料を稼ぎながら,亡Eに出ている投機益の吸収を図っていたと推認することができる。
ウ まとめ

(ア) 以上の事実によれば,被告従業員ら(F及びG)は,本件取引の当初から,亡Eから預託を受けた金銭の返還を免れることを志向しつつ様々な工夫をこらしていたもの(客殺し)と推認される。

(イ) なお,亡Eが被告従業員(G)を信頼して,その推奨ないし助言に従って取引の注文を出していたことは既に説示したとおりである。実質的に見れば,被告従業員(G)は,亡Eの資産の管理を任されていたといえるから,亡Eの資産を適切に運用すべき信義則上の注意義務(配慮義務・信認義務)を負っていたものと解するのが相当である。しかるとき,前示の本件取引の経過にかんがみれば,Gに上記義務(配慮義務・信認義務)に対する違反が認められることは明らかである。

(ウ) したがって,本件取引を主導した被告従業員らの行為は,一体として亡Eに対する不法行為を構成するものと解される。そして,被告従業員らの行為が被告の事業の執行につきなされたものであることは明らかであるから,被告は,その使用者として亡Eの被った損害を賠償する義務があるというべきである。